都鄙往還雑考

宝塚の山の中と街をいったりきたり 2022年12月よりブログタイトルを変更しています。それ以前の記事は順次整理していきます。

とある残酷な動画

イメージ 1
 
このブログで血なまぐさい話を取り上げるのは本意ではない。
でも、世の中という場所には、いろいろと血なまぐさい話が置いてある。
 
WikiLeaksという内部告発サイトがある。
07年にバグダッドで、記者を銃撃したアパッチ攻撃ヘリが撮影したという、動画が掲載されている。
見て気分の良いものでもないし、好奇心で見るものでもないので、ここではリンクは貼らない。
見たい人はWikiLeaksで探してもらいたい。英字サイトですが、すぐ見つかります。
ただし、残酷な映像なので心の準備をしてから見て欲しい。
それと、見てから気分が悪くなっても、当方では責任を負いかねます。
(CNNの記事だけは貼っておきます↓)
 
イラク戦争の時、戦争に反対する人は多かったと思うが、皆さんはどうでしだったのでしょう?
アメリカは止められない」
「サダムフセインも悪党」
ということで、最終的に「始まったから仕方ない」になってなかっただろうか?
アフガン戦争も「アメリカは止まらない」、「タリバンアルカイダが悪い」で、始まったような気がしないではない。
誤爆で死ぬ人には「生まれた国が悪かったから仕方ない」で済ませてないだろうか。
正直に言えば、07年にアフガンに行くまでは、クマは上のようなことを考えていた。
「仕方ない」で済ませた。
 
一年半ほど、軍用ヘリが飛び回る場所で生活してると考えも変わる。
たまには、はるかな高空に、F15が、A10が、B52が見える。
無人機だって飛んでいる。
山肌を這うように飛ぶアパッチが、急に山影から現れるのは、怖いものである。
道路じゃハンヴィーやら装甲車だって走ってる。
毎日、話す人、通り過ぎる人が、「仕方ない」で危険にさらされ、「仕方ない」で殺されると思えば、
「仕方ない」というのは、かなり恥ずかしい。
 
現地にいた頃から、米軍という組織は嫌いだったが、個々の米兵はそんなに嫌いではなかった。
クマは好きで行ったが、彼らは国の命令で好きでもないのに、派遣されているのだ。
彼らも家に帰れば、誰かの父であり、息子であり、母であり、娘なのだ。
そんな人間が、誰が敵か味方か分らん所へ放り出されるのだ。しかも、銃を持たされて。
そりゃ事故って、水路へ転落する軍用車も出るだろう。平常心で車を運転していられる方がおかしい。
「仕方ない」の結果、派遣される人もいるのだ。
結果、動画のような蛮行で手を汚す人も出る。
イギリスでは、胃液が逆流しそうな、別の蛮行も報道されている。
 
戦争をするということは、こういうことでなんだと思う。
たまに不安になるのは、この国は自分の国が戦場になるまで、
こういうことに気付かないかもしれないということだ。
気付かないままに、空気に流されるままに、戦争に反対したり、賛成したりしている。
気付いた時には手遅れだと思うので、WikiLeaksが公開したこの動画は一度は見た方がいい。
人が殺される瞬間なんて見たくもないし、見るべきものではないかもしれない。
不見識にもほどがあるかもしれない。
それでも、きれいでカッコいい映像だけ見て、人を煽るような論調に乗せられて、
戦争へ無邪気に賛成の旗を振る人よりかは、はるかにマシであると信じている。
 
(写真は07年8月にニングラハル州で撮影。8月の炎天下でも、銃座で最後尾を警戒する兵士がいる)