都鄙往還雑考

宝塚の山の中と街をいったりきたり 2022年12月よりブログタイトルを変更しています。それ以前の記事は順次整理していきます。

アフガニスタンの地方自治

 
先日のガッファル・カーンさんの動画が、なにやら想定外の民族の人たちにまで紹介されたらしいので、
上の動画をチョイスしてみました。
獅子のごとき貫禄のある顔をしておられるクナール州知事ファズルラ・ワヒド。
怖いそうな顔ですが、英字版ウィキペディアによればNGO勤務経験のある人のようです。
どこかの州知事はえらい違いですね。
下の動画のニングラハル州知事グルアガー・シェルザイ。
元はカンダハル州知事です。それもタリバン政権の前から。
ああ見えてアフガニスタンではかなりの実力者です。
アフガンの州知事というのは、日本の県知事より権力があるのではないかと思います。 
 
州知事は選挙ではなくカブールの中央政府が任命します。
1969年出版という古い本ですが、
東大ヒンドゥークシュ調査隊の報告書「アフガニスタンの水と社会」には、
古き良き平和な時代のアフガン農村が報告されていますが、ここに当時の地方自治体制が紹介されています。
州には州知事が。
州の下に分区・郡があり、分区長・郡長が。
その下に、村があり村長が。
村長は18才以上の男子成員による話し合いで選出され、その人を分区長・郡長が任命する。
村長は道路工事など公共事業、徴兵、治安での紛争調停にあたるそうです。
話し合いというあたりに、多数決とは違うアフガンなりの民主主義を感じるのですが、ちがうかな。
他に一部からは評判の悪いジルガもあります。
ジルガは正邪の判断を下すより、仲裁と和解の機関となっています。
報告されている村では、正月やラマダンなどに年4回定期的に開き、
議長はなく、成人男子全員が出席でき、発言権もあるが、老人たちの意見が強い。
実際に村をまとめているのは村長ではなく、経験や財力があって、寛容な老人たちが相談役・調停役をやり、
州の地域開発局の指導員も村長ではなく、まず老人たちに話を通すという記録はアフガン農村らしいな~
と思えるのですが、アフガン全土の各村々になんとか委員会のシステムを広めいてる人たちには
あまり評判がよろしくなさそうなのがこのジルガです。
 
動画では市民が州知事に質問し、州知事がそれに答えるという内容。
市民とはいえ、どこまでがヤラセなのかな~
選挙して決める州知事ではないのですが、こういうテレビ番組があるのも興味深い。
州知事によって服装に差が出ているのも、ちょっと面白いです。
それぞれの州知事がどういう場所で働いてきたかを、暗示しているかのようです。