都鄙往還雑考

宝塚の山の中と街をいったりきたり 2022年12月よりブログタイトルを変更しています。それ以前の記事は順次整理していきます。

フローズン・リバー

先日より、滅多に見ない映画を見てまいりました。
かなり長い間、映画館へ行くのが嫌いだったのですが、
最近、映画が嫌いなのではなく、でかいシネコンの人ごみが嫌だったのだと気付きました。
規模の小さな映画館の雰囲気は良いモノです。
で、今回見たのは「フローズン・リバー」です。
http://www.astaire.co.jp/frozenriver/

ニューヨーク州北部、カナダとの国境に面した街。
クリスマス前に、夫に家のお金を持って蒸発された白人主婦レイが、
インディアンの女性ライラと密航者の運び屋をするというお話。
二人は車に乗って、凍結した国境の河を往復します。
二人の間に、へんな友情などは芽生えるワケでもなく、
子供のためにお金がいるという純粋に「母親」なのが、二人の共通項。

どのあたりまで、現実に沿っているのか知らないのですが、
海に囲われた日本と違って、国境の認識がずいぶん違うモノです。
河の前で、躊躇した白人のレイに「no border」と言いきっちゃうインディアンのライラ。
密航を手伝うのですから、それくらい言い切るかもしれませんが、
トルハム国境もそうでしたが、陸続きの大陸は国境の認識が薄そうです。
二人が運ぶ密航者は蛇頭が斡旋した中国人でしたが、ある日パキスタン人の夫婦がやってきます。
う~ん、いくら密航者とはいえ、パキスタン人というだけで、テロよわばりかと思ってると、
この夫婦のカバンを巡り、ヒヤヒヤする展開になります。
二人が犯罪を犯しながらも、子供の母親である女性だということを観客は理解できましたが、
同時進行で、自宅の長男がとんでもないことをやらかしてるので、そっちもヒヤヒヤです。
こっちの心臓がフローズンですよ。
最後は、話が丸く収まり過ぎているのが、変でもありましたが、
そこに到るまでに充分にヒヤヒヤしてましたので、
「あぁ、よかった、よかった」と安堵して終わりです。
アバターみたいに、ものすごい特殊技術が使われている訳でもなく、
主演の二人はおばちゃんで、魅力的な若い俳優という存在はカケラもありませんが、
そんなものがなくても、観客を飽きさせない話を展開させるテクニックは脱帽です。