都鄙往還雑考

宝塚の山の中と街をいったりきたり 2022年12月よりブログタイトルを変更しています。それ以前の記事は順次整理していきます。

保護されたクマ

先日、久保田弘信という写真家の方が、ジャララバードを取材中ということを書きましたが、
この方のブログと公式サイトを読んでいくと、取材先のとある場所と、クマが以前ここで書いた
「垣間見た貧の風景③難民キャンプにて」は、同じ地域のことでした。
よくよくそんな偶然があるものです。
その久保田氏はカブールで警察に拘束された顛末を、ブログに書いておられます。
数十分ほどの時間を、クナール河を望む田舎の駐在所で保護されたことのあるクマとしては、
やっぱり大都会カブールの警察はコワイものだと思いました。
 
これは、まだ現場への単独移動に制限が無かった頃のお話です。
ジャララバード市内から北へ車で約1時間程度の現場へ向かっていました。
乗った車は、事務所でも悪名高い故障多発車でしたので、まあ嫌な予感はしていたのです。
常時、どこかしら故障しながら走ってるような車です。↓
イメージ 1
案の定、路上でエンジン停止。
右手はクナール河、左手は・・・ちいさな警察の駐在所。
日本的考えるとこれは幸運です。
まさに地獄に仏、不幸中の幸い。
ですが、国が国だけに警察といっても、あまり歓迎できない状況です。
さっそく、事務所に連絡をとり、代わりの車を派遣してもらいますが、
どう頑張っても到着までに30分くらいはかかります。
ドライバーのアフガン人スタッフは、あれこれバッテリーをいじった結果、
「部品をちょっと近所の店で買ってくるから、あそこの警察にいろ」
そう言い残し、彼は通りがかりの乗り合いタクシーに乗って旅立ちました。
文字通り、ひとりぼっち。旅立つなよ。
そうしてクマは警察官にしばらく保護され、スイカとチャイを御馳走になっていました。
やっぱりアフガニスタンは、どこでも客人歓待の国です。
これだけだと、とっても和やかな話ですが、その時に持っていたカバンの中身が大問題でした。
薄給で知られるアフガン警察官が腰を抜かすほどの現金。
それも、私物の現金ではないので紛失も盗難も困ります。(私物でも困ります)
もはや気分は、狼の群れに囲まれた羊状態のクマ。
なにせ、みんなさん警官ですから、銃を持ってます。つまり、準備はバッチリなのです。
ワイロ云々の悪評なんてのは、いろいろあります。
保護が捕獲にすり変わったらどうするよ~
などと、考えながら一分を異様に長く感じながら、事務所からの救援車を待っていました。
もちろん、捕獲に変わることはありません。最後まで良い人たちでした。
なお、故障車はその後も、走行中にスライドドアが勝手に開きそうになるなどの、
数々の故障を抱えながらも、立派に活躍しました。ただし、とてつもなく不評でしが・・・
 
 
(写真が問題の車、07年3月に撮影)