ハートロッカーに対抗して、日本で映画化してくれないだろうか。
安田純平著の「ルポ戦場出稼ぎ労働者」のことだ。
かつてイラクで拘束された経験のある著者が、
イラクの軍事基地に調理人として潜入取材したのが、主な内容。
南極で料理した人が映画化できるなら、こっちもできるはず。
安田氏は本の中で、もはや戦争は格差なしでは成り立たないと指摘している。
そして、日本人戦場労働者が生まれる環境は整いつつあると指摘しているのだ。
けっこう、衝撃的な指摘だと思うのだが、これは絵空事の未来とは思えんのだ。
安田氏が言う「職が無ければ戦場へ行け」なんて空気は、確かに存在する。
数年前はネット上にいくつも散らばっていた。(今もあるの?)
そして、はからずも、そのタワケタ話を実践しちゃった奴がこれを書いてるんだから、シャレになってない。
ボランティア・NGOの段階では、すでに何人もがそんな空気を実行している。
(各々がこのタワケタ話にどう影響されたかは知りません)
そして、取材とはいえ、安田氏は現場でシェフに昇進してしまうなど、労働者としても前例は拓かれている。
もう前例はあるのだ。
誰かが組織を立ち上げて、軍隊から後方支援事業の受注、労働者を派遣するシステムを構築すれば、
きっと日本人戦場労働者の扉は開かれる。
いやもうどこかで始まっているかもしれない。
となれば、9条憲法を後生大事にしていても、無意味なのだ。
9条は確かに日本の軍事を縛りもし、歯止めもかけてきた。
でも、9条が止められる範囲は自衛隊と日本政府であって、民間の企業活動ではない。
戦場はもはや政府と軍隊だけのものじゃない。
民間企業が企業活動として戦争に参画することを、9条だの護憲だので、制止できるの?
戦争を嫌う日本人の空気は、きっとまだ有効だ。
他国と違い、堂々と戦場労働者を募集していないのは、その表れだと思う。
それが、良くも悪く平和な国の倫理観なんだ。
ただし日本人の倫理観はあまりアテにできないような気がするので、はなはだ不安だ。
「戦場で若者を死なせてはいけない」なんて叫んでる人の頭の中は、若者=兵士のはずだ。
兵士=強制的に行かされる。
戦場労働者=好きで行ってる。→放っておけ。
なんとなく、こんな空気になりそうな不安があるのはクマだけか?
もう諸外国の下流社会では、一般市民でもこんな至近距離に戦場があるんだ。
日本だって、北だの、中国だの、言ってる場合に、こんな形で戦場が身近になるかもしれない。
軍事マニアが妄想しそうな戦争とは、まったく違った形から日本人が戦場に参加する未来があるかもしれない。
なにが、どうやって創られたのだろうか?
その行動力と決意に脱帽。