都鄙往還雑考

宝塚の山の中と街をいったりきたり 2022年12月よりブログタイトルを変更しています。それ以前の記事は順次整理していきます。

砂原遺跡の記事を見て思う

大学へ通っていたころ、石器捏造事件というものがありました。
当時、大学で歴史を学んでいたこともあり、遠く東北の出来事だったとはいえ、
他人事ではない事件でした。
あれから何年たったでしょうか。今も事件の構図は残っているような気がします。

http://mainichi.jp/enta/art/news/20090930ddm012040166000c.html
先日、島根県出雲市砂原遺跡で日本最古の石器が発見されたそうです。
毎日新聞の記事によると、最後に石器と断定することに慎重な意見が掲載されています。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200910110039.html
でも、もう堂々と展示しているようです。

別に今回の調査団を疑ってるわけではありませんが、あの捏造事件は発掘調査の成果が
学会で精査される前に、マスコミ発表が行われるという事も遠因になったと思うのです。
他の時代と違い、積み重ねの少ない旧石器時代の研究は時間をかけて公表すべきではないでしょうか。
発掘調査が行われ何かしらの発見があれば、調査側はマスコミ側に公表します。
現地説明会のことも考えれば、発表は埋め戻しの前が良いに決まっています。
記事にするのか、しないのかは、記者さんしだいですが、たいていの場合、記者さんたちは
歴史知識がありませんので、発表側の言うとおりに記事を書きます。
記事に書いてあることを疑う人は、そうはいないでしょう。
大発見だったりすると、地元だって観光資源になるようなものを放ってはおきません。
でも、監視カメラを置いてある発掘現場なんて、そうそうあるものではないのです。

かの捏造事件を捏造犯F氏個人の責任にすることで、考古学業界は体質を改善することができなかった
のだと思います。また、捏造しようなんて考える人が現れなければいいのですが・・・