都鄙往還雑考

宝塚の山の中と街をいったりきたり 2022年12月よりブログタイトルを変更しています。それ以前の記事は順次整理していきます。

歴史のお話

アフガン現代史のブラックボックス

当ブログはこの手の話題より、先日のマンゴーウマウマなような話を多く書きたいですが、固い話をばひとつ。 京大イスラーム地域研究センターから出版されている『アフガニスタンは今どうなっているか』 http://www.asafas.kyoto-u.ac.jp/kias/contents/meeti…

二人目の訪問者 その3

1925年(大正14)10月、田鍋安之助はカブールに到着。 年齢62歳。この時代の62歳はもう十分にお年寄りだろうし、アフガニスタンでは今でも十分にお年寄り。 若き日は海軍軍医学校で医学を修め、野に下っては医者もしながらほとんど大陸浪人。 日露…

二人目の訪問者 その2

1924年(大正13)田鍋安之助は日本を出発。太平洋を渡り、シアトルに降り立つ。 彼はいきなりアフガニスタンに直行したのでないのです。 シアトルでは大学で英語を学びなおし、ロサンゼルスなど各地で黒人差別を目の当たりにし、 ワシントン、カナダのモ…

二人目の訪問者 その1

年末に田鍋安之助なる人物を当ブログで触れたのを憶えておいででしょうか? 1925年にアフガニスタンを訪問。 記録の上で確実な日本人で二人目のアフガニスタン訪問。 カブールから中央アジアを通ってモスクワを旅した最初の日本人。 明石書店より出版さ…

鬼が来た

追儺式ってなに? という話です。 追儺式と書いてついなしきと読みます。 その起源は古代中国にまで遡れるそうです。 場所によっては「鬼やらい」とか「鬼おい」とかとも呼びます。 日本では宮中の年中行事として大晦日に行われ、 方相氏役の役人が矛を持っ…

太山寺

このブログはなにかとアフガニスタンに偏る傾向がありますが、 2011年最初の記事くらい日本的な記事を。 神戸市西区伊川谷の三身山太山寺。 716年に藤原宇合の建立と伝えられますが、確実な所では平安時代あたり。 明石川の支流伊川の上流にあります…

埋もれた歴史が面白い

前回記事の「74年前の留学生」で登場した6人のアフガン人。 帰国後、6人ともカブールの政府内部で出世され、局長や大臣を務めた方も。 東京帝国大学教育学部卒業のアブドゥル・ハキムさんは、1970年には最高裁長官として再来日してます。 その後は無…

74年前の留学生

世の中は楽しいクリスマスらしいですが、 大阪の福島区でマイク持たされて区民ホールのステージの上に連行されるという罠にかかったクマです。 わーん、してやられたー さて、この前とあるメールが発端で戦前の日本にやってきたアフガン人留学生について調べ…

日常は歴史に残らない。

そういえば、昨日は終戦の日でした。 週末あたりは、戦争関連の特番なども多かったようですが、 もう10年か20年経ったとき、同じように終戦の日の前後に、戦争特番はやっているだろうかと考えたりします。 あの戦争をリアルタイムで知っている世代は、どんど…

カラーでみる昔

気付くの一足遅かった。 NHKのBS1で深夜0時から「奇跡の映像よみがえる100年前の世界」が再放送されています。 http://www.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/080106a.html 今週の金曜までの全5回放送だから、1回と2回はもう放送終わってますね…

文化財保護とは最優先事項か?

バーミヤンの石仏が爆破されたのは、大学1年の春休み中だったと思う。 休み明けに、考古学専門のI教授が大変激怒した様子でタリバン批判を語られたことを憶えている。 O助教授(当時)とは違い、温厚なI教授としては、大変珍しいことだった。 あの時、世界…

垣内遺跡

http://mytown.asahi.com/hyogo/news.php?k_id=29000001001270003 ちょうど一年くらい前の話。 淡路島の垣内遺跡の発見が新聞に載ったのは。 弥生時代後期の製鉄遺跡として関西では大きく報道された。 先日、板状鉄斧が見つかっていたことも報道されました。…

日本はいつから日本だったのだろう

「日本は単一民族国家だ」という意見が少なからずある。 じゃあ、多民族国家なのかと言われても、多民族国家とはどんな国なのか、 日本にいると想像しにくい。 それは僕らの国が、多少はいろんな方言で「?」が浮かぶことはあれど、 基本的に日本語一つでど…

戦前にアフガンに住み込んだ日本人

前回、前々回とアフガニスタンの独立記念日に纏わる迷信を探ってみたが、 その過程で、どうしても気になる人物がいたのでさらに探ってみた。 その名を高垣信造という。(信蔵とするものもあり) 1933年の野村俊吉著「秘められし国アフガニスタン」で登場す…

住居に使わなかった石の技術

本日、朝刊に掲載された桜井茶臼山古墳の竪穴式石槨。 竪穴式にしろ、横穴式にしろ古墳時代を通じて、 日本各地に石を使った構造物の建築技術があった。 しかし、日本人はこの技術を、住居に転用しようとは思わなかった。 こういう違いって、単に日本が森林…

偽造の話はどうなった?

金印「漢委奴国王」発見者の特定に“新説” http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/091021/acd0910211346003-n1.htm 上の記事では一切触れられていないが、金印といえば2年ほど前に 新しい偽造説が提起されたはずである。 幻冬舎より出版されている三浦…

遠く福島で

昨日、福島の方に当ブログの存在がばれてしまいました。 夜逃げしたい気分ですが、せっかくの機会ですので、 福島のネタはないかと思っていたら出てきました。 http://www.kahoku.co.jp/news/2009/10/20091015t65003.htm 福島県教委は14日、湯川村の桜町遺…

古代道路

先日、NHKで放送されていた番組 古代日本のハイウエー~1300年前の“列島改造”~ http://pid.nhk.or.jp/pid04/ProgramIntro/Show.do?pkey=001-20091012-12-05090 三連休最終日12日の夜9時から、一時間半に渡って放送されました。 世の中の歴史好き…

異形の王権

『異形の王権』 平凡社ライブラリーから出版されている網野善彦氏の著書。 先日購入し、今読んでます。 古代から中世、近世の非人や異形とされる人たちのメインです。 聖から賤へと変化する過程など、あまり教科書や大河ドラマが取り上げない 庶民、民衆の歴…

砂原遺跡の記事を見て思う

大学へ通っていたころ、石器捏造事件というものがありました。 当時、大学で歴史を学んでいたこともあり、遠く東北の出来事だったとはいえ、 他人事ではない事件でした。 あれから何年たったでしょうか。今も事件の構図は残っているような気がします。 http:…