都鄙往還雑考

宝塚の山の中と街をいったりきたり 2022年12月よりブログタイトルを変更しています。それ以前の記事は順次整理していきます。

羊が一匹、羊が二匹、羊が・・・

かれこれ3年前の話になります。
いまだに憶えてるんだから、食い物の恨みは恐ろしい。
じゃなくて、クマは小さい人間なのです。
 
イスラムの国では、イードの祭日に羊を生きたまま買ってきて、お祈りしてから解体して、
料理して、みんなで楽しくお食事をするものです。
さて、そんな彼らの習慣は聞いてはいたのだけど、それは自宅の話だと思っており、
元所属先までそんなイベントをやっていたとはクマは知らず、知ってた人もあの時は忘れたのかな?
とうのアフガン人職員からもあんまり聞かなかったので、完全にイードをスルー。
そーして一ヶ月遅れの12月最後の木曜日に水路現場で羊パーティーと相成りました。
なぜ木曜日かというと、金曜日がお休みな現地に合わせて、木曜日は仕事が半ドンの日であり、
なにより月の最後の木曜日は、月給でお給料を貰う職員の給料日なのです。
イベントするにはもってこいですし、日本人は年末という意味もありました(12月が年末なのは日本人だけです)
さて、給料の配布。
給料計算から袋詰めまでの準備は、日本人がコソコソと事務所の金庫室でやってました。
給料日当日は、月給取りの職員は一部例外を除き、全員ジャララバードの事務所で受け取りです。
その時に巻き起こるさまざまな質問、苦情の受付係が写真の彼です。
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しかし、このときは水路現場でパーティーやるので、仕事が終わると事務所職員もほとんどが現場へ。
やむなく現場の拠点で給料配布。
当日、半月契約の作業員という別の給料配りも現場であったので、事務所によらず早朝から現場へ。
前日に「仕事終わりと同時に水路現場職員の給料配るから、早めに現場へ合流せよ」
そう指示したはずが、職員の給料を配り始めるお昼になっても、待てど暮らせど一向に彼はやってこない。
待ってられないので、配りをスタート。
普段は、どんぶり勘定で、大雑把な彼らだが、こと給料となると恐ろしく緻密になる。
給料袋は簡単に散らかすくせに、何ヶ月も前の給与明細まで保存してチェックをいれる。
配り終えるまでドキドキせにゃならんし、場合によってはハラハラしなきゃなんない。
クレーム係なしでの配布は心臓に悪いのだが、みなおいしい羊料理に注意が行ってるので、
さしたるトラブルも無く無事に大方の職員に配布終了。
しかし、彼はまだ来ない。
「彼の給料袋も残ったままだけど、後で渡すか」
給料貰った連中はおいしい羊肉のカライを頬張ってる。
ふところもお腹も満杯にしたことだろう。
あー僕も腹減ったし、羊、羊・・・・・・。
コック 「えっ、オマエまだ食ってないの?」
クマ  「ちょっと待て、コラ。なんだその空っぽそうな鍋は!」
膝が砕けていく。
なんか申し訳なさそうな顔のコックが軽くなった鍋からどーにか肉を回収。
おのれ、給料配ってる間に美味しそうに食いやがって。
が、座席に着いたクマの視線の隙間に写真の彼が・・・・
彼の手元には明らかに美味しく食べ終わった皿が・・・・
クマ 「ハニフラー、貴様ー!!」
ぶっちーん
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(写真はいずれも07年から08年に撮影。上の写真の彼は今も会計係の重責を担ってるそうだ。下は当時の現場の拠点、今は別の場所に移転していると聞く)