都鄙往還雑考

宝塚の山の中と街をいったりきたり 2022年12月よりブログタイトルを変更しています。それ以前の記事は順次整理していきます。

緊迫しているアフガニスタン情勢


震災のドサクサにまぎれて、アフガニスタン情勢がただならぬ状況。
4月1日に北部マザリシャリフで住民デモが暴動となり、国連施設が襲撃され、
2日には南部カンダハルでもデモが暴動となり、治安部隊と衝突。
2日間で国連職員の7人を含む、20人は死亡したことに。
重要なのは、爆弾テロとかではなく住民デモによるということ。
きっかけはアメリカでコーラン焼却イベントをした牧師さんがいたらしく、
それが現地に報道されたことによるのですが・・・。
http://www.asahi.com/international/jiji/JJT201104020054.html
それはあくまで発火点で、これまでにもう十分過ぎるほどガソリンは撒いてあるのですね、アフガニスタンには。
例えば先日、米軍兵士による民間人殺害の裁判に関連して、
アメリカのローリングストーン誌が事件は一部の者が秘密でしていたのではなく、
部隊内で公然と行われていた事実をショッキングな映像と共にスクープした事件は、
3月30日にはアフガン国内でも報じられていたので、実はこの金曜日に何か起こるのではと、心配してました。
まさに案の定という形に。
ロイター日本語版の記事
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-20313920110329 
アフガン現地報道機関の記事。死体を掲載することもある海外マスコミでさえモザイクかけてる
http://www.tolonews.com/en/afghanistan/2290-karzai-condemns-us-kill-team-actions-
このkill team報道に限らず、アフガニスタンでは広い国土のどこかで誤爆なり、誤射なり、テロの巻き添え、
そんな事件が9.11後の空爆から今も続発しております。
そんな中でも、復興支援ってやってくる外国人はいるけど、いっこうに生活は良くならない。
良くならないのに、外国人はなんでか良い生活で、ええ給料貰ってる。
安全地帯に引き篭もり、外に出るときゃ、大仰な警備をつけておるで。
んな感じで、住民暴動が起こる下地は整っております。
今回、マザリシャリフとカンダハルという広いアフガンの南と北、これまでの歴史的経緯、民族構成が、
全然違う二つ都市で住民暴動となったのは、アフガニスタンの一地域に限った事象に留まらず、
全土に発火点を有する事態ではないかと考えると、大いに不安です。

事件に対してオバマ大統領はコーラン焼却を容認できない行為と批判しつつ、
今回の暴動を「許しがたく恥ずべき行為」と批判しておられます。
今回の事件をコーラン焼却とリンクして考えるより、これまでの対テロ戦争とアフガン復興支援での失態、
それら今事件の下地になったものへ、目を向けるほうがいいのではないでしょうか。
国連が住民に襲撃される。
では、復興支援に関わる国連が住民から支持されない存在に成り果ててるのはなぜか。
有事に際して、国連を守ろうとする住民がいないのはなぜか。
暴動に参加した住民を「野蛮」と断じる前に、その辺も考えましょうよ。
エジプトやリビアチュニジアなどのデモ・暴動参加者を、僕らは「野蛮」と呼びましたか。

追記
「そんな事件が9.11後の空爆から今も続発しております。」の後、文を3行だけ付け加えました。