都鄙往還雑考

宝塚の山の中と街をいったりきたり 2022年12月よりブログタイトルを変更しています。それ以前の記事は順次整理していきます。

第五話 想像外な認識違い

昨日は、不正の話を書きました。
弁護をするワケではありませんが、他所者でしかない日本人と違い、
家族・親戚・一族郎党・友人・知人もいるアフガン人職員にとって、悪だくみの誘いを容易に断れぬもの。
日本的感覚で業務上横領じゃ~。背任じゃ~などと、バッサバッサと処断しにくいのもまた事実。
もちろん、隙を見せた日本人の責任もあります。ハイ。
これについて「日本からの善意や良心に失礼じゃないか」と考える人もいるかもしれませんが、
そもそも、NGOそのものについて、アフガン人と同じイメージを共有していたかと言えば大いに疑問です。
日本の場合、NGOと言えば非営利、市民団体、慈善団体、ちょっと左翼な人たちというイメージです。
ですが、こういった日本のNGOより国際的な大きなNGOは、強力な資金力を有し、
そこで働く人たちも一般企業と同様の水準の給料で働いているそうです。
元所属先のように日本の他団体様でもドン引きするようなことはあり得ないでしょう。
ですので、アフガニスタンでは、NGO関係のきれいで新品のランドクルーザーが走り回っています。
国連機関の車は車体が白いのでよく目立ちます。
彼ら外国人の日常生活はアフガン人からすれば、とても豪華です。
酒があるとか、プールがあるとかまで聞いたりします。
ですが、一向に国はよくなりません。
もの凄い金額の援助資金が流れ込んでいるはずなのに。
疑惑がNGOに向くのも必然的な流れ。
NGOを通じて援助資金が先進国に還流しているのではないかという疑念。
昨年、大統領選挙で第3位につけたラマザン・バシャルドスト氏は計画相だった2004年に、
全NGOの登録を抹消しようとしたことがあります。
一般人のみならず、政治家ですらNGOにたいして不信感があるワケです。
アフガニスタンではNGOに対して、日本人とは違いマイナスイメージを持っている人も多いのです。
こういうイメージが不正行為を後押ししたかもしれません。
日本人のちょっとした生活態度がどう受け取られるか。
そういうこともあるでしょう。
さらに、NGOと普通の営利企業をちゃんと分けて認識していたかというと、これもまた疑問です。
例えば、このシリーズの第3話で難民キャンプの話をしました。
キャンプの人はひょっとしたらNGOというのは「井戸を掘る会社」だと認識していたかもしれません。
例えば、水路建設の現場を見て、その仕事がNGOか、建設会社によるものか、
外野から見る分にはまったく見分けがつきません。
「日本のNGOの仕事だ」と説明しても、「NGOという企業なんだ」と、
頭の中で解釈されてても不思議じゃないです。
復興援助に関わるという点では、NGOと企業はアフガン人の目からすればなにも違わない。
そして、一緒に働いていた正社員扱いのアフガン人職員であっても、
果たして正しく認識していたかは不安になります。
彼らの感覚が外資系企業に勤めている感覚だとしても不思議ではありません。
お互い勘違いしたまま働いていたかもしれないな~と思います。
うーむ、感じていたけれどあまり深く考えてなかったな。
まったく、彼らの頭にはどんな日本の事務局が描かれていたことでしょう。
現実は、日本事務局よりジャララバード事務所の方がはるかに広くて良い建物。
NGOだからといって、欧米系の資金力のある大きなNGOのようなイメージだったら、とんでもない勘違いです。
「ジャララバード事務所のクマですが」と電話をかけたら、
「ジャララバード」がわかっていないようなニュアンスの返事が返って来た時は唖然としたものです。
事務局のご婦人方にはどっと疲れます。あの時は床に膝をついたな。
こうして現地の日本人は、本国との認識違いとまで遭遇します。
今思えば、認識違いの上で仕事をしているようなモノです。
それにしても、あれだけの規模の仕事をするNGOが、あの規模の部屋で事務局を構えているのは、
日本人であっても想像できぬ事。
相互の認識違いは、いたるところに埋まっています。
スイマセンが、まだ続きます。
テキトウに筆が向くままに書いててゴメンナサイ。