都鄙往還雑考

宝塚の山の中と街をいったりきたり 2022年12月よりブログタイトルを変更しています。それ以前の記事は順次整理していきます。

お金にまつわる困った諸事情

イメージ 1

前回、前々回と街角の物乞いに纏わるお話でしたが、今回は閑話休題ということにして、
お金そのものについてのお話です。

首都カブールであれば、こんなこともないはずですが、
カブールと隣国パキスタンの中間に位置するジャララバードでは、
自国の通貨アフガニーと同じように、堂々とパキスタンのルピーが使用できる。
長年の混乱のおかげで、アフガニーよりルピーの方が信用できるということらしい。
加えて、パキスタンより流入する膨大な商品の支払いにも、都合がいいということもあるのだろう。
(最近、パキスタンも混乱しているので、少しは変わったかもしれない)
当たり前だが、アフガン政府はこんなことを認めてはいない。
ルピーでモノを売買するのは違法である。
でも真面目に取り締まると、街中みんな牢屋行きになりかねないので、
たまに取り締まり月間のようなキャンペーンがあるが、ふだんは問題なく買い物できる。
だが、そういうアフガン政府の方針なので、アフガン人職員の給与はアフガニーで支払っていた。
誰も銀行口座など持ってないので、給料日に封筒に入れて全員へ手渡しで配る。
「なんで誰も口座持ってないの?」
「そんなものは、お金持ちしか持ってないよ」
「おい、クマさん。今貰った給料の100アフガニー札に穴があいてる。交換してくれ」
「ごめん、チェック漏れや~」
紙幣に穴が空いてるのは、日常茶飯事。
あんまりひどいと店で使えない。
でも、そういう穴をテープで補修してあるのはまだ良い方だ。

糸で縫い合わせているのを見た日は絶句した。
札束をホッチキスでまとめるのが常識なので絶句した。
紙幣に落書きどころか、血痕があったりして絶句した。
やたらに紙幣がポマード臭くて絶句した。
なぜかメープルシロップのような香りが付いてて絶句した。
そんな札束を数えていると、手が真っ黒になるので絶句した。
絶句することの多いこと。ウソだと思うかもしれないが、ホントの話だ。
しかも、これらは時々なんていう遭遇頻度ではない。
銀行から渡された札束でさえホッチキスで留めるところ見ると、
なにかお金に対する意識が、根本的なところで日本人と違う気がしないでもない。
なんで、せっかくのピン札にまで穴あけるかな~
こんな感じですので、ATMなんてモノは夢のまた夢であるのは間違いない。

(写真は上の2枚がアフガニー紙幣、下がパキスタンルピー)