都鄙往還雑考

宝塚の山の中と街をいったりきたり 2022年12月よりブログタイトルを変更しています。それ以前の記事は順次整理していきます。

未知なモノ空を飛ぶ

ジャララバードの空に、軍用ヘリだけでなく無人偵察機まで飛びだしのは
年が2008年になってからの事だったと思う。
市の南西にあるジャララバード空港を拠点にしているらしいそれは、
ヘリとはまた異なるエンジン音を響かせ、街の上を飛んでいく。
たいてい、昼過ぎの2時くらいには、市内の幹線道路を沿うように空港へ向いて飛んでいた。
だから、昼からバザールへ出かけた時は、よく見えたものである。
カメラに全く心得がないので、空を飛んでいるモノを撮影するのは難しかった。
頭上を低空で飛ぶ航空機は、カメラを構えた時には遠くに飛び去っている。
日本から持ってきたカメラも、普通のデジカメで望遠レンズのあるようなモノじゃない。
しかも、ある日現場でカメラを落っことすという事故のため、
最後の方はジャララバードのバザールで買ったデジカメだった。
でも遠き異国で、日本語対応の機種があっただけでも御の字と言わねばならない。

「あれ、無人で飛んでるだよ」
「はっは、クマさん、そんなワケないだろう。飛行機は人が動かしてんだ」
「日本から飛行機で来たんだろう。なんで知らないんだ」
最初に見た頃、宿舎のアフガン人スタッフに教えたら、笑い飛ばされて、しかも全否定された。
ところが、ひと月もしないうちに話は変わった。
「クマさん、あれはコンピューターで動いているんだ。人が乗っていないんだぞ」
いかにも、僕が何も知らない子供のように教えてきた。
「オマエ、この間言っても信じなかったやん」
そんな言葉を胸をに呑み込んで、とりあえず彼のご教示を聞いておいた。
未知なるものが、人づてに広まるにはそれくらいの時間がいるらしかった。