都鄙往還雑考

宝塚の山の中と街をいったりきたり 2022年12月よりブログタイトルを変更しています。それ以前の記事は順次整理していきます。

最近のアフガン報道から⑦

パソコン故障にともない休止しておりましたが、今日より再開いたします。
休止中にアフガン報道は、珍しくずいぶんな騒ぎ。
なかでも目立ってないですが、カブール銀行での取付け騒ぎ。
銀行口座を持っているのは、お金持ちな人とか公務員くらいだと思うので、
大方のアフガンの人には関係ないのですが、NGOや援助機関、企業はどうなんだろうなと思ってみたりします。
かの国で活動資金を本国から送金し、現地で保管するのはなかなか難儀な話です。
取付け騒ぎと聞いて、顔が青くなった人もいるかもしれません。
そういえば、今年に入ってからカブール銀行のカードを見たような・・・・・・
話を変えましょう。
常岡氏の話。
めでたく解放となったそうですが、これまでタリバンの犯行と報道されていましたが、
最終局面でこんなどんでん返しがあろうとは。
 
http://twitter.com/shamilshより(太字部分引用)
いくつかのメディアで、「タリバンが誘拐」と、出ているのをみました。犯人はタリバンではありません。クンドゥズのラティブ司令官とタハールのワリーという、現地の腐敗した軍閥集団です。彼らはタリバンになりすまして日本政府をゆすっていました。
「アフガン当局がタリバンと断定」してるので、日本メディアもそのまま書いてるケースが多いみたいです。軍閥ラティブはカルザイの顧問サバアウン大臣の、ヒズビ・イスラミ内の部下に当たり、カブールに事務所も持って、政府の人間として堂々と暮らしている人物なので、アフガン当局は事実を発表するは発表するはずはないと思います。政府中枢の人間が日本人を拉致して日本政府をゆすったのですから。
 
これを日本での記者会見ではなく、帰国途上のドバイ空港から発信してくるあたりが、
ジャーナリストとして情報を扱う人の技術なんだろうなと思います。
しかも、まだこの事件は終わってない模様です。
 
「ジャララバードの家族がイスラム党らしき人々から脅迫を受け、カブールへ脱出した。なんとかならないだろうか」 アジマールの家族にはお世話になりましたが、そのことで今度は彼らが脅威に晒されているらしい。事件は終わっていなかったようです
 
日本では生還万歳的な記事で終了し、事の真相を追究しようとする記事は見られません。
常岡氏の発言が本当なら、日本政府が行うウン億ドルの援助に待ったをかけるべきです。
「ちゃんと捜査せんのやったら援助金止めるぞ」と脅しくらいをかけてもいいような気がしますが、
国益のためでなく対米関係のためのアフガン援助をしたいのだろう日本政府は
「犯人はタリバンなことにしてOK」と思っているのかもしれません。
しかし、悪いことしても捕まらないというのは、良きことではありません。
今もこの先も日本人はアフガニスタンで活動していくでしょうが、
この調子では同種の事件がこれからも起きる事になるでしょう。
ところで常岡氏は、外国特派員協会で記者会見をしたせいか、この件は海外でも報道されています。
どうも拘束中に監視者をだまくらかしてツィッターで発信したのがウケているようで。
ちゃんとヒズビイスラミ(イスラム党)と報じています。
さらにパキスタンのドーンまでAFPの記事を転電する形で報じています。
アフガン国内の報道は解放直後に記事になりました。
共同や時事の記事を引用する形で報じていましたが、どこもタリバン犯行説でした。
この星の中で、いまだにタリバン犯行説が通っているのは、
アフガン国内と日本の霞ヶ関と永田町くらいのものでしょう。
タリバン指導部もきっちりとオープンな形で諸外国のマスコミと接触できる渉外・広報部門のオフィスを、
カブールかパキスタンかドバイあたりに構えていれば、こんな濡れ衣に対抗できるだろうにと思います。
ひとたび「タリバンがやった」と報道が流れれば、
タリバン側からそれを正すことができないのはえらく不公平な話です。
さて、今回も自己責任論な話は飛び交っているのでしょうか?
まだその辺まで見てないのですが、困った国です。
かわぐちかいじは「沈黙の艦隊」のなかで、死地から生還してくる者を迎えるのは、人間の原始的な喜びなのだと描いていましたが、日本はそういう原始的なところに変な心配をせねばならんとは、もうダメダメです。