都鄙往還雑考

宝塚の山の中と街をいったりきたり 2022年12月よりブログタイトルを変更しています。それ以前の記事は順次整理していきます。

あの州知事さんの手腕

福岡の事務局から現地報告の束が届きました。
毎回、毎回、ありがたく読んでおります。
とくに、今回は会報にあったようにカマ取水口の通水の話。
毎冬のように切羽詰った水路現場冬の陣。
しかし、今年ほど各現場の戦線が延び切ったうえに、
よその水路の取水口という重大極まりない工事まで抱えることなどあったでしょうか。
秋口から心配しておりましたが、現場や後方の皆様方が奮迅の働きで乗り切った様子。
「今季の小麦収穫を諦めるから工事して」という地元からの要望。
現場のプレッシャーは如何ほどのものか、想像を絶します。
それでも、4月12日には通水式の式典にこぎつけたようです。
報告の束の中に、式典でのテープカットの写真も混ざっています。
ハサミでカットするのはあの州知事
「・・・・・・」
せっかくの式典。
州知事をお迎えして開催できるのは名誉な話ですが、
個人的にあんまし好きな人じゃないので、微妙な気分です。
一飯の恩義があるんですが、その時の状況が状況だけに「オマエ空気読めよ」と言いたかったところ。
きっと州知事州知事で「ワシが歓待してるのになんてノリの悪い日本人たちだ」と思っていたかもしれません。
でも、豪腕軍閥政治家丸出しの人と相性があう日本人は、最初から福岡のあの事務局に迷い込んでません。
州知事の経歴は書いてしまうと「なんでまだ州知事の椅子にいるんだ」と非難轟々だと思うんで書きませんが、
南部のカンダハル州知事を2度も務めたこともある軍閥の親玉みたいな人です。
親玉らしく、それらしい顔つきの持ち主だし、体格もごっつい巨漢です。
経歴や報道だけでこの州知事をみると非難轟々したくなる人ですが、
実際に会った人の話だと、パシュトゥンのおっちゃんにありがちな人物像が描け、
今回の式典でもジャイアン並みのワガママを披露しているので、実はけっこう面白い人なのかもしれません。

さて、マメに水路現場の情報を追っている人であれば、
昨年の通水式の式典のニュースを憶えているかもしれません。
あのニュースは日本でも、アフガン現地でも報道されたので、
今回も現地では報道されているのかと思い、ちょっと調べたのですが見当たらず。
代わりにアフガン水力製粉機とか見つかりましたが、州知事の写った興味深いモノも見つかりました。
http://www.cjtf101.com/en/regional-command-east-news-mainmenu-401/4397-district-delivery-program-fills-gaps-in-kama-government-institutions.html
なにやら式典が行われたニングラハル州カマ郡の開発に関する会議の様子。
州知事はマイクを前にした白い服に口ヒゲのオジサンがそうです。
会議は4月10日から12日に行われたようで、まさに通水式の当日。
で、このサイトもそうなのですが、米軍関係の支援会議みたいなのですね。
PRTとか文中に出てくるんですよ。
えーっと、これはつまり「水」も確保されたことなので、さらにカマ郡は上へ目指すということでしょうか?
日本のNGOとも仲良くしつつ、米軍とも仕事を進める。
結果、地域が復興すれば、それはそれで州知事としての実績になる。
相反する二つの勢力を見事に利用する手腕は、戦乱の国で長く州知事を務めているだけのことはあります。
もっとも駐留外国軍が絡んだ話がうまくいくのか知らないですけどね。
それにしてもこういう手腕は、日本の政治家の皆さんにも見習って欲しいところ。
相容れない主義主張でも、復興に繋がる話なら協力しようよ、永田町のみなさん。
ちなみに式典の翌日13日、州知事はジャララバードの少数派住民であるシーク教徒のお祭りを訪問
つくづく複雑な土地です。