都鄙往還雑考

宝塚の山の中と街をいったりきたり 2022年12月よりブログタイトルを変更しています。それ以前の記事は順次整理していきます。

あの日、失笑されたオバマ

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ジャララバードにいた頃、オバマ大統領はまだまだ民主党の候補の一人だった。
正直、消えてなくなる泡沫候補だとすら思っていた。
ノーベル平和賞まで貰って、まさか受賞演説までしてるとは夢にも思わない頃の話。

アフガニスタンでラジオを聞きとるのは、かなり難しかった。
アナウンサーもDJも、話す速度は、とんでもなく速い。マッハでしゃべる。
それでも、いくらか聞きとれた単語で中身を想像できたりする。
その日は、いくつか聞こえた単語で「アメリカの大統領選挙の話かな?」と思っていると、
同僚の二人のアフガン人が急に顔を見合わせ笑い出した。
「どしたの二人とも?」
オバマって奴が、パキスタンに特殊部隊を送るって話してる」
「彼はなに考えてんだ?」
「こんなのされたら、困るじゃないか」
候補時代のオバマ氏は、イスラム過激派対策の一つに「パキスタンに地上部隊を出すべし」という
大変過激な意見を持っていた。
「うん、彼はそう言ってる。でも大丈夫だよ。彼は黒人だ」
「黒人なのか?」
「だから、当選なんてできないよ」
そう言いくるめると、二人は安心したようだった。
それが、当選しちゃうとはね~。
あの頃、まだオバマ氏がイスラムと近い環境で育ったことを知らなかったけど、
それも話したら、あの時どんな話になっただろう。
「ところで、来年はアフガンでも大統領選だろ?誰に入れるの?」
この質問に、大変微妙な空気が漂った。ひょっとしたら踏み込んだらマズイ話だったのかもしれない。
「オマエも立候補してみろよ」と冗談でその空気を誤魔化といた。
今思えば、あの微妙な空気は選挙の顛末を予感させるモノだった。

(画像は昼休みにバレーボールを楽しむ事務所スタッフたち 08年3月撮影)