都鄙往還雑考

宝塚の山の中と街をいったりきたり 2022年12月よりブログタイトルを変更しています。それ以前の記事は順次整理していきます。

だから、中国人じゃないって

事務所に鉄筋を納品しに来た業者の男は、延々と中国について話していた。
「中国はすごい」
「中国の人はイイ人ばかり」
明らかに、クマの顔を見て中国人だと誤解しているようだった。
せっかくなので、全部聞いてあげてから「ここ日本のNGO」と教えて差し上げた。
バツの悪そうな顔を浮かべた。
納品先のことくらい、ちゃんと調べておけよ。
実は、中国とアフガニスタンは国境をワハーン回廊と呼ばれる場所で接している。
お隣同士なのである。カブールからはウルムチ行きの航空便まである。

初対面で何も知らないアフガン人はかなりの割合で、
日本人の顔を見れば中国人と誤解する。
「チナイですか?」
「違うジャパニだ」
こうして訂正することが多かった。
中国製の製品は確かに多い。
日本人がトイレでお世話になるトイレ紙も中国製だった。
おそらくバザールで発見し、重宝された醤油も中国製だ。
一般的な評判は「中国製は安いけど、壊れやすい」「日本製は壊れないけど、高すぎる」
まあ日本人も多量の中国製を使っているわけで、
日本から持ってきた電卓に「made in chaina」などと書いてあると、
「なんで日本人が中国製を使ってんだ。オマエ日本人だろう」という話になる。
だって、安いだもん。なぜかそこで、いまや中国が世界の工場であることを力説する。
中国はもはや先進国なのだ。日本より発展するに違いないとまで言ったことまである。
だが、肝心の中国人をジャララバードの街では見たことがない。
「中国人とよく間違われるが、ジャララバードに住んでるのか?」
「ああ、たくさん来てる。道路工事とかで」
それからしばらく後、問題の道路工事現場に出くわしたのは、市の南西、難民キャンプにも近い場所。
なにもない荒野にきれいな道路があった。
「中国の企業が造った」と運転手は言っていた。
そして、その道路網はなおも建設中らしく、中国人らしい人が見える現場には重機も入っていた。
できたばかりのその道路は、デコボコもなく、極めて快調な道だった。
現場へ行くときに使う、クナール州へ通じる幹線道路よりはるかにイイ。
中国はISAFにも参加してないので、とかく問題にしがちな人もいるかもしれんが、
反米な国のイラン企業による開発事業もあったりするので、
カタイ事を言ってると日本は出遅れるような気もする。(いや、もうすでに出遅れてるのかも)

昨年からの報道では、中国系企業とアフガン政府閣僚とのワイロが問題になっているらしい。
その額3000万ドル。アフガニスタンではあり得ない金額だ。天文学的だぞ。なんに使うんだ?
3000万アフガニーの間違いではないのか?(それだってもの凄い金額である)
鉱山開発に絡むワイロらしいが、その鉱山開発に連動した鉄道計画がある。
ジャララバードにいた頃から報道されていたが、
昨年、朝日新聞ではその計画が地図付きで掲載されていた。
その予定ルートはワハーン回廊からアフガンに入り南下し、ジャララバード辺りを通り、
カイバル峠を越えてペシャワールに繋がり、パキスタンの鉄道網へと連結する。
ワハーン回廊からカラチにまで至る壮大過ぎるモノだった。
こんな計画、実現できるのか?停戦しないと無理だろう?
さすが万里の長城なんて昔から造ってる国だ。
考えるスケールが違うと思いきや、日本人もかつて似たような構想を抱いている。
大東亜縦貫鉄道
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%9D%B1%E4%BA%9C%E7%B8%A6%E8%B2%AB%E9%89%84%E9%81%93
うーん、日本人の考えることも侮れん。